◆小児脳死移植に法改正の動き
自民党の脳死・生命倫理及び臓器移植調査会は22日、都内で会合を開き、15歳未満でも脳死での臓器提供ができるようにするため、臓器移植法の改正に向けた検討を始めた。調査会では、「国民も小児移植を望んでおり、早急に実施できるようにすべきだ」との意見が出た。(11月22日、朝日新聞夕刊)
昨年の秋から改正の話だけはあったが、具体的な動きはこれが初めてであろう。最短でいけば来年の春の通常国会で改正案が提出される可能性が出てきた。
ご存知のように、厚生科学研究では法律、小児脳死判定基準などの報告書が出されているが、これらについての議論はまだちゃんと行われていない。議連についても推進、反対とも1、2回行なわれたにすぎない。
◆「脳死出産に思う」 第46回日本不妊学会 竹内一夫氏講演
11月8日に東京都内で開催された第46回日本不妊学会で、杏林大学名誉教授は、「脳死出産に思う」をテーマに特別講演を行った。竹内氏は、脳死出産にはさまざまな問題があり、「希望のある臨床を考えると、脳は救えなくても、残った機能をいかに有意義に残すか」が課題だと指摘。「医学は法律に振り回されず、人間のためにあるべきだ」と述べた。
竹内氏によると、かつて医学概論の講義を受ける学生に、「脳死した婦人のお腹を借りて胎児を育てることについてどうか」と質問したところ、全員がその問いに抵抗を示した。しかし、脳死に直面し苦労してきた脳外科医たちに同じ質問をすると、肯定する意見が聞かれたとし、このテーマは今後の検討課題だと述べた。
現在14例の脳死出産成功例があるが、脳死出産にはいくつかの問題が含まれている。その問題点について竹内氏は(1)法律(2)倫理(3)経済(4)妊婦の医療(5)産科学の問題(6)新生児学的問題(7)臓器提供−をあげた。
(Japan Medicine 2001.11.12)
通常の脳死臓器移植も受け入れられたとはいいにくい日本の状況でこうした講演が行われた真意は測りがたい。世界的にも、これほどあからさまに肯定的な意見を標榜している人は少ないのではないか。また、医学生と脳外科医での比較はいささかナンセンスだろう。せめて、救急医のような立場の意見も聞いてみるべきだ。また、脳外科医のどの程度が肯定的な意見を持っていたのかも知りたいところだ。
◆第18例目の脳死判定行われる(2001.11.3)
今回の判定では、原疾患、入院病院が「家族の希望」で非公開となった(ただし、後者はマスコミですでに公表されている)。いずれも、臓器提供施設マニュアルで公開が原則とされているもので、あえて非公開とするならば、その根拠となったものを明示すべきである。(参考:臓器移植ネットワークから厚生労働省に提出された報告書の抜粋)
また、心臓移植については初めて高度先進医療(厚生省資料)が適用されることとなった。
◆移植学会理事長、辞任へ
「臓器ネット」不祥事で引責
日本移植学会理事長の野本亀久雄九州大名誉教授が、任期途中で理事長を辞任することが二日分かった。後任は来月、東京都内で開かれる理事会で選任される見通し。関係者によると、今年六月に日本臓器移植ネットワークの不明朗な寄付金問題が噴出。ネット副理事長を兼任する野本氏が、同学会から責任を追及され、理事長を辞任することになったという。寄付金問題で同ネットは厚生労働省の立ち入り検査を受け、改善勧告を出されている。
野本理事長は、一九九五年から六年の長期にわたり在職し、臓器移植法成立に尽力したほか、脳死移植の定着に貢献した。(読売新聞、2001.11.3、東京朝刊)
◆下田健康局長就任会見(臓器移植関係、要旨)
臓器移植法は施行から3年以上が経過し、見直しの時期が過ぎている。一番大きな問題は小児の移植だ。突き詰めると臓器提供意思の問題に行き着くが、国民的合意には至っていない。
現在までに16例の移植が行われたが、ドナーカードが7000万枚以上配られていることを鑑みると、個人的にはもう少し移植数が増えても良いかと思う。今後、法改正も視野に入れた検討をしなければいけない。
(社会保険旬報、No.2114)
◆脳死判定に新たな難題/薬物、脳に高濃度で残留/高知医大助教授指摘
2001・10・20 大阪読売新聞夕刊2社面
脳死判定の際に問題になる中枢神経の活動を抑える薬物が、脳内には血液中よりはるかに高濃度で残っているケースが多いことが守屋文夫・高知医大助教授(法医学)の研究でわかった。脳死に近い状態だと脳の血液循環が不十分で薬が排出されにくいためで、血中濃度を測定しても、薬の影響の消失をきちんと確認できないことになる。判定に新たな難題が浮上した。
救命治療では麻酔薬、催眠鎮静薬などがしばしば使われる。これらの中枢神経抑制薬は脳の活動レベルを下げるので、各種の検査を行うと見かけ上、脳死と同じ結果が出る恐れがある。
このため厚生労働省の脳死判定基準は、こうした薬の影響の消失を判定の条件にし、可能なら薬の血中濃度を測定して判断するよう求めている。最近の法的判定では血中濃度をもとに、通常の患者への投与経験から影響消失とみなした例が多い。
守屋助教授は、過去九年間の法医解剖で脳死状態だった十六例のうち、薬物を検出した四例について、脳組織と心臓内の血液の薬物濃度の違いを調べた。
昇圧薬エフェドリンの使用例では脳内の濃度が血中の五十三倍、抗けいれん薬フェニトインの使用例は七・三倍、シンナー乱用例はトルエンが五十倍だった。脳死でない解剖例ではこれほどの差はなかった。
麻酔薬リドカインは三例で使用され、一例は血中がゼロなのに脳で高濃度で検出。もう一例は脳が二・二倍。三例目は逆に〇・一倍と低く、これは脳血流が止まった後で投与されたためらしい。
守屋助教授は「投与後に脳血流が不十分になった場合は判定を慎重にする必要がある。国の第三者機関による検証も、脳内の薬物濃度まで考慮すべきで、判定後、血液と脳組織を採取して分析することが望ましい」としている。
厚生労働省臓器移植対策室の話「難しい問題だ。判定基準作りにかかわった医師などにも相談したい」
◆ 存続の方向で検討されていた脳死臓器移植の「第三者検証会議」存続が決まりました。
従来からの変更点として、斡旋の検証については日本臓器移植ネットワーク内部の委員会で行うこと、
検証会議の増員を図ることなどです。(2001/10/12)
臓器移植ネットワークより提出された「改善勧告書に対する処置」 (2001/8/31)
厚生労働省発表「日本臓器移植ネットワークに対する改善勧告書」 追加(2001/08/21)
臓器の移植に関する法律を遵守させるための厚生労働省に対する行政監視の要請(2001/08/03)
参・衆議院両院に提出
厚生労働省発表「 第15例目の脳死下での臓器提供及び移植に当たってのネットワークからの照会に対する厚生労働省としての対応について」 経緯(2001/08/01)
社団法人日本臓器移植ネットワークに関するいわゆるトンネル寄付などに対する厚生労働省の立ち入り検査の結果、
厚生労働省発表「日本臓器移植ネットワークに対する改善勧告書」 同別紙
が出されました。(2001.7.30)
日本臓器移植ネットワークの臓器あっせん業の許可取り消しを求める申し入れ
さる7月4日に本団体を含む9団体連名で、「日本臓器移植ネットワークの臓器あっせん業の取り消しを求める申し入れ」を、厚生労働省に提出しました。
6歳未満の脳死判定に疑義を提示(2001/06/07)
6月7日の毎日新聞朝刊によると、来る㋅22日に開催される「日本脳死・脳蘇生学会」で、先に厚生省の小児脳死判定基準に関する研究会が作成した報告書に対し、科学的根拠がないとする批判意見を発表する。
レジュメは以下のとおり。
「小児における脳死判定基準に関する研究」に対する疑問
──提示された小児の脳死判定基準は、科学的な根拠を有しているか?
東京都立墨東病院救命救急センター 濱邊祐一、埼玉医科大学総合医療センター・高度救命救
急センター 堤晴彦、東邦大学大橋病院脳神経外科 上田守三、大阪府立病院救急診療科 桂
田菊嗣
Several questions of "The study about guideline for brain death in children"
──Is the proposed guideline really based on scientificevidence?
Tertiary Emergency Center, Tokyo Metropolitan Bokuto General Hospital
Yuichi Hamabe
Department of Emergency and Critical Care Medicine, Saitama Medical School
Haruhiko Tsutsumi
Department of 2nd Neurosurgery, School of Medicine, Toho University
Morikazu Ueda
Department of Emergency Medicine, Osaka Prefectural General Hospital
Kikuji Katsurada
【目的・方法】平成11年度厚生省厚生科学研究費・特別研究事業・総括研究報告書
「小児における脳死判定基準に関する研究」(以下、「研究」)の問題点を抽出し、そ
の中に提示されている小児の脳死判定基準が科学的根拠に基づいているかどうかを検討
した。
【結果】(1)「研究」の第T部でわが国における小児脳死の実態を知り得たとして
いるが、解析対象となった139例が、真に脳死状態に陥っているか否かが検討されて
いない。
すなわち、全脳機能の停止の不可逆性の根拠が示されていない。
(2)暫定案を示すことによっておこなわれた「研究」の前向き調査は、6歳未満の
症例の脳死判定に最適な観察間隔を割り出すようなデザインになっていない。暫定案を
示すことによって、予め決められていた新生児48時間、乳児24時間という結論に恣
意的に導いている。
(3)修正齢12週以上の症例は脳死判定し得るということの根拠が薄弱である。
(4)提示された小児の脳死判定基準の妥当性を、科学的に証明し得るような前向き
の調査を実施していない。
【結論】現行の脳死判定基準が6歳未満の症例にも適用し得るかどうかの検討を目的
とした今回の「研究」には、論理的な不備が認められる。提示されている小児の脳死判
定基準が、科学的な根拠を有しているとは結論できない。
小児救急医療支援事業は初年度51地区にとどまる(2001/05/24)
厚生労働省雇用均等・児童家庭局は、23日、2000年度を初年度とする新エンゼルプランの進捗状況についてまとめた。小児医療関係では、小児救急の確保を目的とした小児救急医療支援事業は、当初計画の240地区に対し、2000年度に整備できたのは51地区に留まった。同省は小児専門の救急医療体制の整備として5億9400万円の予算を計上しており、今年度中に目標を達成したい考え。